Möelva-B×B-

絵師集団ciliegioによるオリジナル作品オフィシャルブログです。男同士の恋愛が苦手な方は閲覧をご遠慮ください。

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27.【蒼白の月に啼く獣3-2】

 狂司郎の声だった。

 初めて聞く狂司郎の歌声を途切れさせたくなくて、気づかれないようにそっと近づく。大きな木の根元で、背中を木の幹に預け足を投げ出すように伸ばし座っていた。

 子供らしいキーの高い声は、西門の知らない言語を歌詞として紡いでいる。日本語ではない。フィンランドの歌だろうか。


 ふと、声が止み、狂司郎の横顔が空を見上げる。光に弱い淡い色の瞳を持つ狂司郎は、まぶしげに目を眇め、口元を引き結ぶように閉じる。

 その姿が、寂しさを堪えているように見えてしまった西門は、狂司郎に歩み寄る。

「恭司郎様、こんなところにいらしたんですか。探していたんですよ。
暑いでしょう?水、飲んでください。」

 西門の声に狂司郎の表情がわずかに動くが、小さくうなずくとペットボトルを受け取り素直に水を飲む。コクコクと水を飲む狂司郎の前髪が、汗で濡れた額にはりつき、そのこめかみから一筋汗が伝う。
 西門は思わずその汗に指先で触れたくなったのだが、手を握りこむようにしてそれを思いとどまる。


 狂司郎が返してきたペットボトルを受け取ると、
「汗を拭きましょう。」
と声をかけ狂司郎の傍にかがみこみ、持ってきたタオルで汗を拭ってやる。

 狂司郎の後頭部に手を回して頭を支え、顔の汗を拭っている間、狂司郎はおとなしく目を閉じている。狂司郎の銀色の長い睫毛がフルフルと揺れる。それにじっと見入りながら、西門は壊れ物を扱うようにそっと優しくタオルを持つ手を動かしていた。


「さぁ、恭司郎様、部屋に戻ってお昼にしましょう。
おなかすいたでしょう?僕も食べてないからおなかペコペコですよ。」
そう西門が言うと、狂司郎が少し驚いたように見返してくる。西門が食べていないとは思わなかったようだ。

 西門が微笑みかけると狂司郎は無言で立ち上がり、スタスタと屋敷に向かい歩き出す。

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