Möelva-B×B-

絵師集団ciliegioによるオリジナル作品オフィシャルブログです。男同士の恋愛が苦手な方は閲覧をご遠慮ください。

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3.【蒼白の月に啼く獣P-3】

「狂司郎様。こんなところで寝ないでください。
着替えてもいないじゃないですか。貴方という人は、まったく…。」
西門の声に、目が覚める。どうやら気づかぬうちに眠ってしまったようだ。

 ここまで具合が悪いと思われるのが癪で、なんでもないような顔で身を起こす。
そんな狂司郎の傍に立ち、その顔をじっと見つめる西門。
その視線がなんだか痛くて、狂司郎は不貞腐れたような顔になる。

「…んだよ、何見てんだよ。」
「いえ、いつになったら着替えるのかと。
着替えるのも辛いですか?なんなら私が着替えさせて差し上げましょうか?」
「っ!…馬鹿か!ガキじゃあるまいしっ!」
ソファを蹴るように立ち上がった狂司郎は、寝室に向かう。

 西門の口元に小さな笑みが浮かぶ。
――動かない狂司郎様を動かすには、
彼が恥ずかしいと思うようなことを言ってやるのが一番だ――
長年のつきあいで、狂司郎の転がし方を心得ている西門だった。

 狂司郎が寝室に入ると、白いふわふわの塊と 白と茶のブチの塊が擦り寄ってきた。
狂司郎の飼い猫だ。白くて長毛なのが“ライ”、ブチが“くぬぎ”どちらもオス猫である。
二匹とも桜華学園の物理教師の小春先生から押し付けられた猫で、名付け親も彼女だ。
 二匹の猫を軽く撫でてやったあと、ベッドに腰を下ろし制服を全て脱ぎ捨てる。
いつもはパジャマなど着ないで寝る狂司郎だが、この悪寒には耐えられず長袖のシャツを羽織り、ベッドにもぐりこむ。

 開けっ放しになっていた寝室のドアを入ってきた西門は、ベッド横のサイドテーブルに持って来た物を置く。
狂司郎の脱ぎ捨てた制服に気づき、少し呆れた表情を見せたものの、小言を言うでもなくクローゼットにしまいに行く。

 狂司郎は西門の動きをぼんやりと目で追っていた。
その視線に気づいた西門が優しく微笑みながら、ベッドの傍らにやってくる。
 
サイドテーブルから、消毒薬を浸したコットンをピンセットで取り、
「少ししみるかもしれませんよ」
狂司郎の口元の傷をコットンで軽く押さえながら 、西門は彼の唇を見つめる。

 少し薄めの形の整った唇。
心は固く閉ざしてしまう傾向にある彼なのに、
この部分はとても柔らかそうで甘そうに見える。


――何度、この唇に触れたいと思っただろう――
そう思うたびに、自分の感情を振り払ってきた。
 その感情の根源にあるものが何であるかを、わかっているからこそ自戒し続けているのだ。
手を伸ばしてはならない。決して侵してはいけない領域だ。
それは彼を守るため。彼の心にある傷を再び抉らないために。

 

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狂司郎と猫たちの話は小春ラインとリンクしています。
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