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絵師集団ciliegioによるオリジナル作品オフィシャルブログです。男同士の恋愛が苦手な方は閲覧をご遠慮ください。

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狂+彰「心と時間が紡ぐもの」



 昼間は汗ばむほどの暑さだったが、こうして陽が落ちる頃になると、涼しい風が吹きぬけて、過ごしやすい。

 先ほどからずっと、とあるマンションのベランダで、狂司郎はぼんやりと空を眺めていた。
 東京近郊といえど、このあたりも都市化はかなり進んでいるので、眺めていて楽しいような景色でもないのだが。


 このマンションの持ち主は、市立明桐高校3年、一之瀬彰だ。明桐高校は、大学進学率の高さを誇る、男女共学の進学校である。
 ベランダから下の通りを見下ろすと、2種類の全く違う制服を着た生徒たちが、入り混じりながら駅に向かって歩いている。
 桜華学園の生徒と、明桐高校の生徒たちだ。
 彰のこのマンションは、駅を降りてから二つの学校へ向かう分かれ道に位置している。
 距離的に近いせいもあってなのか、明桐高校は学校ぐるみで桜華学園をライバル視している向きがあり、 両校の生徒の交流はあまり見受けられない。

 その明桐の生徒会長でもある彰と、桜華の問題児の狂司郎が何故、一緒にいるのか。

 それは二人が幼馴染だから、という至極簡単な理由だ。

 人に対してめったに気を許すことのない狂司郎だが、幼い頃四六時中一緒にいて、素の部分を知られてしまっている彰には、壁を作る気もないようだ。 もし作っても、彰ににこやかに笑いながらぶち壊されるのがオチだから、という理由もなきにしもあらず。
 狂司郎自身の気が向くと学校帰りにぶらりと立ち寄り、何をするでもなくここで時間を過ごす。

 彰は高校生でありながら、IT関連の会社を興し社長業もこなしている。
 学校が終わった後は、自宅兼事務所であるこのマンションで仕事をしていることが多く、狂司郎が来ても、相手をするでもなく放置している。
 狂司郎にとっても、慣れた相手の気配だけ感じながら、気ままに過ごせるこの空間が気に入っているようだ。



「狂、いつまでもそんなところで何やってんだ?」
 サラリとした黒髪、眼鏡をかけた理知的な風貌の彰は、高校生と思えないほど大人びている。

 その彰の声に、緩慢な動作で狂司郎が振り返る。
 夕日を浴びて狂司郎の色白の頬がうっすら桜色に染り、妙に可愛らしい風情だが、そんなことは決して口に出してはいけない。

「……別に……。」
「……お前、空見るの、昔から好きだよな。光に弱い目をしてるくせに、飽きずに空を眺めてることが多いもんな。」
「……知るか……。」
 何を考えてるのかわからない、いつもの無表情な顔で、部屋に入ってくる。
 狂司郎の素っ気無い態度も、彰にとっては見慣れたものだ。



 飲み物でも取りに行くのか、狂司郎がキッチンに向かう。
 束ねた髪をフワリと揺らしながら、彰の前を通り過ぎた時、 突然、後ろから回された彰の腕に、狂司郎の歩みが止められる。

 彰は、背後から狂司郎の腰を抱きながら、そっと耳元に口を寄せる。
スンっと鼻を鳴らし
「ん……。狂の匂いだ……。」

 狂司郎は後ろを振り向こうとするものの、 耳元にぴったりと彰が顔を寄せているので、出来ない。

「お前な……」
 と言いかけた狂司郎の言葉を、彰がさえぎるように
「お前、相変わらずイイ匂いさせてるよな。
……なぁ、狂……抱いてもいいか?……」
ピアスだらけの狂司郎の耳朶を食む。

「……。」
 狂司郎が呆れたような表情でため息をつく。
 その刹那、
「うわっ!」
 彰の短い叫びがあがる。
 狂司郎の腕が素早く動いたと、思った時には体勢が逆転し、 彰の腕は後ろ手にねじり上げられてしまったのだ。

「痛っ!やめろ!痛いって!」

 悲痛な声をあげる彰をそのまま、近くにあったソファに押し倒す。
 腕をねじりあげられたまま、うつぶせに倒れた彰の背中を 、押さえ込むようにして狂司郎が圧し掛かっていく。 その肩口に鼻先を突っ込み、低くドスの聞いた声をかける。

「誰を抱くって?100年早いぞ、彰…。
 溜まってんなら、俺が後ろから突っ込んで達かせてやろうか?」
「いやいやいや、それだけは遠慮するよ。」

「……。」
 無言のまま狂司郎の舌が、彰の首筋をぺろりと舐る。
 彰の背筋をゾワリとした感覚が走り、思わず首をすくめてしまう。

「おいっ……」
 抗議の声をあげようとする彰の上から、身体を起こした狂司郎は、 口元に笑いを湛えて、彰の腕から手を離す。

 二人して、ソファに座りなおすが、
「ちっとは手加減しろよ、狂。マジで痛いだろうが。」
 腕をさすりながら、彰が狂司郎を睨む。

「お前が妙な考え起こすからだ。」
「お前、自分の力の強さ、自覚しとけよ。ったく…。」
「……。」


 二人の会話がふと途絶える。
 だがその沈黙も、二人の間ではありふれた日常だ。


「100年か…。俺、その時まだ勃つのかね。」
 と、ぼんやりと天井を見ながら彰がつぶやく。

「……もうしなびてるだろうよ。 ……長生きしすぎだ……。」
「長生きしすぎか?いや、お前を抱けるなら俺は頑張るけどな。」
 二人して低く笑う。



 静かに流れる時間。
 気を張ることなく、己のままでいられる時間。
 その時間を過ごせる相手として、お互いの存在を認め合う二人。


 それは恋愛とはまた違う次元なのかもしれない。

 

 The END

 

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