Möelva-B×B-

絵師集団ciliegioによるオリジナル作品オフィシャルブログです。男同士の恋愛が苦手な方は閲覧をご遠慮ください。

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

| スポンサー広告 | --:-- | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

狂雪7. 夢の続きは銀河の果てで

屋上の日当たりのいい場所(そこ)は、誰かの特等席と決まっている。
だから余程の事がない限り、そこへ立ち入る人間は居ない。


「…くしゅん…」


ぽかぽか陽気に誘われて、立ち入りを阻むように作られた2mほどのフェンスを越え、お気に入りの場所へと向かう足が止まる。
どうやら先客がいるらしい。
その場所を遮るフェンスと出入り口の塔の陰から顔を出すと、まるで猫が丸くなって寝ているような姿が目に映る。


(…デコか…)


この場所を訪れる生徒は、大体決まっている。
みんな知った顔ばかりなので、別に気にするほどのこともない。
狂司郎は先客に直接風が当たらないように、風上のほうへ腰を下ろした。

午後の授業が始まりはじめたばかりの時間は、静かでいい。
一人ぼんやりと物事を考えるのもいいが、人の寝息を聞きながらまどろむのもたまにはいいものか…と感じるような陽気だった。

親友と呼ぶでもなく、かといって顔見知り程度…というわけでもない、そういう微妙な関係の知り合いが学校には何人か居る。
一緒に居ても苦にはならない、ほんの少しの時間、人肌の暖かさが感じられればいい、そんな曖昧な関係…今、傍で転寝している雪耶もそんな間柄の一人だった。


「ん…」


明るい色合いの髪が額から流れて、顔に微妙な陰を作っている。
夢を見ているのか、時折、細い眉が眉間に寄って子供っぽい表情が歪む。
その表情にふと記憶を刺激されて、狂司郎は何気なく雪耶の顔を覗き込んだ。


「…やめ…」


不意に寝返りを打った雪耶の表情が、途端に曇る。
みるみるうちに、閉じた瞳から涙が零れてくる。


「おい…」


狂司郎は突然の出来事にあっけに取られながら、雪耶の涙を拭ってやろうと触れた頬が、驚くほど冷たく震えていることに気付く。
その手を振り払うように、雪耶の腕がもがいた。


「やだ…」


そうしながら、拒否の言葉が唇から洩れる。


「おい…目、醒ませ」
「やだっ…」


もがく腕を掴んだ途端に、雪耶は硬直したように強い力で狂司郎の手を解こうと暴れる。
窘めるように押さえた手首が無理やり解けた瞬間、雪耶の拳が狂司郎の頬を打った。


「…っ!」


口の端から鉄臭さが広がっていく。
雪耶を剣呑な光を湛えた瞳が見据え、掴んだ腕をコンクリートの床に縫い付ける。
同時に、自分より小さな身体に圧し掛かり下半身の動きを封じた。


「やだっ…やめてっ…」
「おい」


どんな夢を見ているのか…激しい拒絶の色は収まらない。
雪耶の辛うじて動きを封じられていない頭が、いやいやをするように振られるたびに、涙が散ってコンクリートに染みを付ける。


「…チッ」


狂司郎は、押さえていた腕を片方放して雪耶の顎を強く掴んだかと思うと、噛み付くように雪耶の唇を塞いだ。


「んっ…」


宥めるように、その小さな唇を舐めてやる。
ひんやりとしていたそこに、徐々に熱が戻ってくるのが解った。

涙の跡を指で辿りながら頬を撫で、髪の毛を梳いてやる。
雪耶の唇が、息の足りなさに薄く開いた瞬間を逃さず舌を滑り込ませ、逃げる舌を絡め取って
他人が聞けば卑猥であろう音をさせながら、少しずつ甘さの増していくくちづけを、狂司郎は思う存分堪能してやった。

拒絶のために胸の間に置かれた拳が、いつのまにか縋るように制服を掴んでいた。
唇を離して雪耶の顔を覗く。
身体から力は抜けてはいるものの、薄く開いた瞳に何も映していないのに気付く。
狂司郎の脳裏にまた、曖昧なあの記憶が甦る。
この虚ろな瞳が何かを思い出させようとするのだけれど、思い出せない。


「…デコ」


何時ものように雪耶に呼びかける。
狂司郎の声に反応するように、瞳に光が浮かぶのが解る。
その光さえも記憶の中の…曖昧な思い出に似ていると感じる。
それがもどかしく、何故かイラつく…。

雪耶の瞳が再び閉じられて、目尻から涙が一筋流れた。
指でそれを拭ってやりながら、再び唇を奪う。
自分の下で、少しずつ上気していく頬や、細い身体に熱が篭もっていくのを感じながら、狂司郎は再び雪耶に呼びかけた。


「デコ」
「ん…あ…」


呼ばれて開いた瞳は、見慣れたやんちゃな光と快感を含んだ潤みを湛えていた。


「あれ?…き…狂さん??」
「……」
「あ…え…っと、これって…どういう…あ、あれ?」


状況がよく飲み込めないまま、雪耶が何かに気が付く。


「どうしたんすか?狂さん、この傷…」


雪耶の指先が、恐れるように口元にそっと触れる。
その指を乱暴に握って、再びコンクリートの床に押し付けながら、しなやかな下肢を雪耶の下腹部に強く擦り付けてやる。


「やっ…あっ…ちょ…狂さんっ!?」


逸れた意識を熱を孕んだそこに戻されて、雪耶の目元が赤く染まる。
桜華の白豹は、全身の毛が逆立つような淫蕩な光を瞳に湛えて、獲物の耳元に囁いた。


「この代償は、高くつくぜ…」

 

END

 

テキスト by 辰城百夏

≪狂雪6.  狂雪8.≫

≪狂雪1.から読む
≪狂雪ルートINDEXへ
≪作品INDEXへ

この作品は湊+狂1.とリンクしています。
湊+狂 蒼白の月に啼く獣1-1≫

Copyright (C)   ciliegio2009, All rights reserved.

 

↓ランキングに参加しています。↓よかったらポチしてください。
 にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ

関連記事
スポンサーサイト

|  ・狂司郎×雪耶 | 19:33 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://moelvabxb.blog81.fc2.com/tb.php/40-9c33a208

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。