視線は思いがけず強く、雪耶は戸惑いを覚えながら実里の心中を推し量ろうとする。
冷ややかにも感じられるような表情の実里は、狂司郎が連れ戻されるのを警戒しているようにも感じられた。
ふと、雪耶の脳裏に一つの可能性が浮かぶ。
狂司郎の家出は、実里との関係によって生じたものなのではないか。
一週間前のあの出来事とは関係の無い理由での狂司郎の出奔である可能性も否定は出来ない。
先ほどの狂司郎の行動から推察して、恋愛関係にあると思われる男女が同じ部屋で寝起きしている現実。
これは、彼女と一緒に暮らすために狂司郎が家を出たと考える方が、妥当なのではないだろうか。
そう考えれば、男である狂司郎が家出をして女性の家に転がり込んでいるという部分の不自然さもなくなる。
もしそうであるならば、雪耶の出る幕はない。
そう考えた雪耶の胸の奥、さっきと同じ場所がまたツキンと痛んだ。
それでも。
理由はどうであれ、雪耶自身の問題としてあの出来事を謝罪しないまま過去に葬ってしまうことはしたくない。
そして、狂司郎と実里の間でどんな事情があってその結論を導き出したにしろ、狂司郎がこのまま学校を辞めてしまうことを考え直す余地はないのだろうかと雪耶は思う。
とにかく、狂司郎と話がしたい。
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