Möelva-B×B-

絵師集団ciliegioによるオリジナル作品オフィシャルブログです。男同士の恋愛が苦手な方は閲覧をご遠慮ください。

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狂雪103.荊-木犀は月に馨る- 3-8


「雪耶さん、濡れると風邪を引きます。車に乗ってください」
雪耶を打っていた雨粒が途切れると同時に聞こえた声を追って視線を上げると、川田が傍らに立ち、傘を差し掛けていた。

眼鏡の奥から心配そうに覗き込む川田の目を、雪耶は口を閉ざしたまま見上げた。

庇護されている。
傘で雨を遮るのと同じように、いつでも、何処に行くにも、自分は護られている。
家に帰れば、家族が幾重もの柔らかく温かい羽根で、雪耶を包み込んでくれる。

そして、胸の袋に後悔をいっぱい詰め込んだ雪耶は、温かい羽根の下に潜り込む。
ぬくぬくとした庇護の下、胸の袋から後悔を一つ一つ取り出して。
「ああすればよかった」、「こうすればよかった」と意味のない懺悔を繰り返すのか。

(それじゃ、まったく成長しないじゃん)
雪耶は自分に対して深いため息をついた。

「さ、雪耶さん、早く車に」
雪耶の背中を押すようにして川田の掌が添えられた時、反射的に雪耶は身を捩って、傘の下から飛び出した。

「雪耶さん?」
「ごめん。俺、やっぱもう一回狂さんのところへ行ってくる!」
「え?また?いったいどうしたんですか!」

伸ばされた川田の手を、すり抜けるようにしてエントランスに戻った雪耶は、傘を閉じ、追ってこようとした川田を振り返ると、広げた掌を彼に向けて突き出し待ったをかける。

「ストップ!川田さん車に戻ってくれる?」
「雪耶さん!」
「大丈夫。もう一度狂さんとじっくり話をしてくるだけだから」
「でも…」
「それと!マンションの真ん前に車を止めてると住人の方たちに迷惑でしょ。
俺は3階の301号室にいるから心配しないで、どこかに場所を変えて待ってて」

雪耶の提案に川田は首を横に振った。
「それはできません。雪耶さんに何かあっては取り返しがつきませんから」
「あのね。ここは一般市民の人たちが住んでるマンションなの。
そんなところに車を横付けしてたら、逆に悪目立ちしてるってわかんない?
川田さんたちが俺を心配してくれてるのはありがたいけど、TPOをわきまえてよ。
話が終わったらちゃんと連絡するから、その時にマンションの前まで迎えに来て」

「……………」
珍しく聞き分けの悪い雪耶を、困惑交じりの視線で川田がじっとりと睨んでくる。

「そんなに俺が信用できないの?」
雪耶が眉間に皺を寄せると、川田が呆れたように大きく息を吐き出す。
「わかりました。でも、必ず部屋を出る前に連絡を入れてください」
「うん。約束は守るから安心して」


川田を乗せ車が動き出すのを見届けた雪耶は、インターフォンに向かった。
しないで後悔するくらいなら、やるだけやって後悔した方がましだ。
――絶対、狂さんと話をする!
うん!
で、一緒に帰る、絶対!――



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