Möelva-B×B-

絵師集団ciliegioによるオリジナル作品オフィシャルブログです。男同士の恋愛が苦手な方は閲覧をご遠慮ください。

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狂雪90.荊-木犀は月に馨る- 2-11


雪耶は、自分自身が狂司郎にレイプされそうになったことは言わなかった。
それについて語れば、自分のトラウマにも触れなければならないからだ。
そしてなにより、雪耶は狂司郎が本気だったと思ってはいない。

狂司郎が自分を犯そうとしているのがわかった瞬間は、確かにショックだった。
だが、不思議とそのことで狂司郎を責める気持ちが起きない。

あの時、自分を押さえ込もうとする狂司郎に恐怖を感じるよりも、彼が痛みに苛まれ苦しんでいるように見えることの方が辛かった。
おそらくあれは、逆上した狂司郎の行き過ぎた暴走だったのだろう。
そうなる前の段階で自分が踏み違えたから、狂司郎のあの行動を呼んだと思っている。
そして雪耶のトラウマが巻き起こしたのが、あの結末だった。


西門は俯いて静かに長い息を吐くと、額に手を当て親指と人差し指でこめかみを押さえる。
雪耶もなんと言葉を発すればいいかわからず黙り込んだ。


「久世くん」
しばし続いたいたたまれないような静寂が、西門の声で破られる。

雪耶が視線を上げると、内心はわからないが表面的には平静を取り戻したかのような、落ち着いた西門の表情があった。
「狂司郎様の過去を聞かされて貴方も辛かったでしょう。申し訳ありません」
そういうと両の膝に手を置き、西門が頭を下げる。

「いえ。俺は大丈夫です」
雪耶の答えに西門は頭を横に振る。
「親しい人の辛く重い出来事を聞くということは、聞かされる方も何かしらの痛みを共感してしまう場合もあります。
それを狂司郎様は、一方的に貴方に聞かせてしまったのですから」

雪耶も狂司郎に自分の過去は未だに明かしていない。
狂司郎に雪耶の痛みを知らせたいとは思わないからだ。
おそらくあんなことがなければ、狂司郎も話すことはなかったのだろう。
だが、今回の場合は、雪耶が狂司郎を追い込んでしまったとも言える。

「そうさせてしまったのは俺に原因があるんです。
俺が狂さんの話を信じてあげられなかったから」
「信じられないのは無理もないですよ。
兄弟でそんなことがあるとは思えないのが普通ですから」

西門はそう言ってくれるが、雪耶はそれで済ませることが出来ない。
「でも俺のせいで、狂さんが過去を思い出して、またその傷を抉ってしまったってわかったんです。
狂さん、ものすごく怒っていたけど、でも、すごく悲しそうに見えて…。
狂さん、痛いんだなってわかったのに…。
なんとかしてあげたいって思ったのに。
なのに俺、結局狂さんの手を振り切って帰っちゃったんです。
狂さん、きっと今も傷ついてるんだと思います。
だから俺、狂さんがすごく心配なんです!」

あの時、狂司郎の話をちゃんと受け止めていれば。
きちんと対処できていれば。
パニックさえ起こさなければ。
いくつもの後悔が雪耶の心に滲む。



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