Möelva-B×B-

絵師集団ciliegioによるオリジナル作品オフィシャルブログです。男同士の恋愛が苦手な方は閲覧をご遠慮ください。

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狂雪69.荊-木犀は月に馨る- 1-3


教室に向かう雪耶の耳に、前方から歩いてくる数人の生徒たちの声が聞こえてきた。
内容を聴いているわけではなく単に彼らが声高に喋っているが故に勝手に流れ込んでくる、いわば音でしかない会話の中に、『白豹』という単語を耳が捉えたような気がして、その瞬間、ピクリと雪耶は反応した。

『桜華の白豹』と言う者もあるがどちらも、陰で狂司郎を指す言葉だ。

雪耶は彼らと目を合わせないように俯き加減のまま、自然を装いさりげなく歩く速度を落とし、聞こえてくる声に耳をそばだてる。

「そういやアイツ、ずっと休んでんだろ?」
「みたいだな。もう1週間になるって聞いたけど。またなんかやらかして謹慎でも喰らってんじゃないの?」
「ここんとこ、大人しかったから牙が抜けたかと思ってたけど、そうじゃなかったのか…」
「どっちにしても俺たちには関係ないよ。」
「だよな。いない方が平和でいいや。アイツが問題起こすたびに桜華の評判が落ちるって先生たちピリピリして、こっちまでシワ寄せ来てたし」
「そうそう!アイツは桜華の汚点だって、うちの親も嘆いてたよ」
「アイツがいないなら、今の時間でもカフェの席空いてる可能性あるしな!」
「もうずっと来なくても……あ…」
「……………」

雪耶は、聞こえてくる内容から、急速に自分の鼓動が速度を上げるのを感じていた。
それでも何食わぬ顔で彼らとすれ違おうとしたその時、唐突にその声が途切れ、彼らの視線がみな自分の方に向けられているのを視界の隅に捉えた。

それが意味するものを雪耶自身、理解している。
桜華学園において孤高の存在である狂司郎とつるむ、ごく少数の人間のひとり。
そんなところであろう。
その雪耶に気づき、話をやめたということで「アイツ」が狂司郎であると雪耶は確信した。

もちろん、話の内容も狂司郎を指しているのは明らかだ。
今の狂司郎しか知らない雪耶は噂でしか聞いたことがないのだが、かつての狂司郎は、些細なことでもキレて暴れ回るという暴力沙汰を何度も起こしていたらしい。
その時の機嫌の悪さだけで爆発してしまうので、桜華学園の教師たちも手を焼いたと聞く。

単独で数人相手に派手な立ち回りを見せるその姿がしなやかな肉食獣を連想させ、彼の髪の色を揶揄する意味も含まれた「桜華の白豹」という呼び名もその頃に付いたということだった。

そういった彼の過去にまつわる噂は今もまだ根強く囁かれていて、桜華の生徒のほとんどが狂司郎には近付かない。
そしてそれは、カフェで食事をしている狂司郎の近くには誰も座りたがらないという現実に繋がる。
確かに彼の傍で騒ごうものなら、あの切れ上がった眦で、氷点下ではないかと思うほどの冷たい視線を向ける狂司郎だったから、周りの人間が萎縮し敬遠してしまうのも否定は出来ない。

だが、今、雪耶が動揺しているのは、狂司郎に対する悪口ともとれる話の内容ではなかった。



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桜華裏話:くれぐれも狂司郎本人に「白豹」と呼びかけないように!睨まれます。
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