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絵師集団ciliegioによるオリジナル作品オフィシャルブログです。男同士の恋愛が苦手な方は閲覧をご遠慮ください。

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黒龍は木犀を甘く喰む5

 瀬名が雪耶と出逢ったのは、彼がまだ5歳の幼稚園児だった頃だ。
 有名大学に通っていた瀬名は、学部の教授の取り計らいでイギリスのとある大学院へのラボ留学を控えていた。
 しかし、親友だと心を許していた人間に卑劣なやり方で研究論文や恋人を奪われ、嘱望された将来の道も閉ざされてしまった。

 こういうときの世間の目は冷たい。

 瀬名の両親は、親類縁者や周りの人間からの心無い言葉や態度に傷つき、職を失い、絶望の中で精神を病んで自らその一生を終えてしまった。
 瀬名自身も友や愛しい人と思っていた人間や、両親を死に追いやった世間を恨んで死を望んだが、若い身で死ぬに死に切れなかった。
 そんな自分に手を差し伸べてきたのが、九頭竜だった。
 ぼろぼろになった心を抱えて酷く荒れていた瀬名に根気強く言葉を掛け、あろうことか自分の命よりも大切にしている孫の世話係として瀬名に仕事を与えたのだ。

 『雪耶』という名に相応しい色白の、あどけない表情をした少年。
 社会からドロップアウトした、こんな自分に何が出来るというのか。
 しかし初対面の時、九頭竜に馬鹿にされた気分で目の前の子供を見下ろしていた瀬名の顔に、水鉄砲で、しかもたっぷりの砂糖水を思いっきり引っ掛けたかと思うと、そのかわいらしい口元に信じられないような悪戯な笑みを浮かべて逃げていく。
 そんな雪耶の後ろ姿を、怒りすら忘れて呆然と見詰めて立ち尽くしてしまった。

 どれだけやんちゃが過ぎるんだ。

 瀬名がそう思うまでに時間はいくらも掛からなかった。
 周りの大人や歳の離れた二人の兄から存分に甘やかされているとはいえ、雪耶のやんちゃぶりは呆れるほどで、長身で運動神経抜群の瀬名でさえ彼を捕獲するには骨が折れる。
 小さいながら野生の猫を連想させる雪耶を捕らえる苦労は、まさに『捕獲』という言葉がぴったりだ。
 瀬名はこのやんちゃ坊主との連日の格闘で、最初に感じた九頭竜への卑屈さや、自分が背負った過去の惨めさ、怒り、諦めを感じる間もなく、小さな猛獣の世話に明け暮れた。


テキスト by 辰城百夏


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