Möelva-B×B-

絵師集団ciliegioによるオリジナル作品オフィシャルブログです。男同士の恋愛が苦手な方は閲覧をご遠慮ください。

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狂雪66.荊-月は闇に翳る-21

いつも能天気に笑っている雪耶の瞳に翳りを見つけたのはいつだったのか。

それがずっと狂司郎の心の隅に引っかかっていた。

昼寝の最中にうなされて泣き出したり、
屋上で一人膝を抱えてへこんでいたり、
誰かと電話をしながら暗い顔をしていたり…。
日ごろの顔とは違う顔を隠し持つ雪耶。

でも、彼は何も語ろうとはしない。
逆に、狂司郎に尋ねることもしない。

物理準備室で藤巻小春に雪耶の話を聞いていたとき、そんな彼の姿が狂司郎の脳裏に浮かんでいた。

今日、偶然校門で会っただけの雪耶のわがままを聞いて狂司郎が車に乗り込んだのは何故だったのか。

バックミラー越しの雪耶の護衛・山本の表情。
電車の中で聞こえてきた雪耶への悪意の篭った言葉たち。

今まで見てきた雪耶にまつわるすべてが狂司郎の心を動かし、この屋敷に雪耶を連れて来る気になったのであろう。

何かをしてやりたいなどという気持ちを狂司郎は知らない。
その目的も意味も自分自身の感情すら狂司郎自身、把握していない。

ただ、電車のドアガラスに映る雪耶の顔が頼りなげで、思わず口を突いて出たセリフが
「これから、家に来るか?」だったのだ。
それは、狂司郎の心からそのまま出た言葉だった。


「行っても…いいの?」と少し戸惑いや不安を滲ませて尋ねる雪耶の顔。
英邸の玄関ドアを開けるまでの、飛び跳ねるようにはしゃぐ雪耶の姿。
そして、今まで狂司郎に向けられてきた数々の雪耶の表情。


―――全部、たった今、自分が壊した―――
狂司郎は自覚する。

自分の怒りに飲み込まれ、衝動に負け、 自分の手で火に油を注ぐように過去を引きずり出し、その矛先を雪耶に向けて彼を傷つけた。
雪耶もまた、重いものを背負っていると気づいていたはずなのに…。

この部屋に入ってから狂司郎が雪耶に向けた暴挙の数々を、雪耶は本気で抵抗してはいなかった。
体格差はあれど雪耶も空手を身につけているのだから、いくらでも逃げ出すことは出来たはずだった。
それでも逃げ出さなかった雪耶の心にはどんな想いがあったのか。


いつのまにか、狂司郎の部屋に宵闇の帳が降り始めていた。

長い髪を後ろで一つに結わえたゴムを乱暴に外し、狂司郎はさらさらと流れる髪に指を突っ込み乱暴にかき回す。
自分で自分を殴りつけたい気持ちになっていた。

「最っ低最悪だ…」

薄暗い部屋の中、床にへたりこむように座る狂司郎を、
やがて来る漆黒の闇が覆い隠すのだろう。
彼の心ごと全部…。


その夜、英邸から狂司郎の姿が消えた。

そして翌日以降、桜華学園にも彼の姿はなかった。


【荊-月は闇に翳る-】 The END


テキスト by 流々透雫

≪狂雪65.  狂雪67.≫
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このお話は雪耶ライン【黒龍は木犀を甘く喰む】にも繋がっています。
あわせてお読みいただくとお話がより深く楽しめます。

黒龍は木犀を甘く喰む1.

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