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絵師集団ciliegioによるオリジナル作品オフィシャルブログです。男同士の恋愛が苦手な方は閲覧をご遠慮ください。

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狂雪58.荊-月は闇に翳る-13

雪耶をじっと見つめながら狂司郎が微笑む。
だが、微笑みという形の表情を作りながらも、狂司郎は自分の心が何も笑っていないことを自覚していた。
たぶん雪耶にもそれは伝わっているのだろう。 彼の頬が強張っているのがわかる。

狂司郎の心を包む外殻を内側から打ち破ろうとして暴れまわっている凶暴な感情は 、出口を求めて激しく狂司郎を揺さぶっていた。


「お前、俺が両利きなのがカッコイイって言ったよな?」
「……?」
狂司郎の唐突な質問に、雪耶の頭がすぐには働かず要領を得ないまま狂司郎に視線で問い返した。

「桜華のカフェで昼飯食ってた時だよ」
「……っあ!うん。言ったっけ…」
「有介に窓から落とされた時、右腕の骨を折ったんだ。
あいつにしてみれば、なんで死ななかったんだってところだろうがな」
「ッ…」
咄嗟に否定しようとしたのか、雪耶の唇が動くが、 結局言葉を発することはなかった。
今まで向けられたことがなかったような狂司郎の視線に竦んでしまっているのかもしれない。

「右手が使えなくなっても、この家じゃ誰も何もしてくんねぇから
全部自分でやるしかなかった。利き手じゃない左手でな。
だから両利きになっただけで 、俺にとっちゃ思い出したくもないことが原因だ。
かっこよくもなんともねぇんだよ」
「………」
雪耶は言葉を返さず、唇を噛み締め、視線がぎこちなく下を向く。
その表情から狂司郎は雪耶の心情を察した。

たぶん、自分の他愛のない言葉が狂司郎の傷に触れていたことに気付き、 その事実にいたたまれなくなっているのだろう。
雪耶も傷ついているのかもしれない。

だが、そう思ったと同時に狂司郎の心の中に新たな棘のある感情が生まれた。

―もっとこいつを傷つけてやりたい―

家庭環境は特殊であろうとも、家族に愛されて甘やかされて育っているのであろう。
「たとえ血が半分しか繋がっていなくても兄弟は兄弟だ」と言い切れるほどに。

そんなお前に何がわかる!
一般論じゃ割り切れない現実があることを教えてやる!


狂司郎は自分の心の最奥、暗い闇の中にあるもう一つの扉に手を伸ばす。
『やめろっ!』
心のどこかで、止める声が聞こえたが狂司郎はかまわず鍵を開けた…。
自らの意思で。
自らの手で、その扉の奥にしまいこまれた忌まわしい記憶を引きずり出す。


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