Möelva-B×B-

絵師集団ciliegioによるオリジナル作品オフィシャルブログです。男同士の恋愛が苦手な方は閲覧をご遠慮ください。

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狂雪45.時の流れる電車に乗って 12

 狂司郎の屋敷を見て驚いているのは雪耶だけだ。
 未だ瀬名と電話で話を続けている山本も、運転している川田も、目線は大きな屋敷に向いているのに驚きもしない。
 ここまで来て、雪耶はSPの二人が狂司郎の背景を既に知っていることに気付く。
 どんなに自分のことを大切にし想ってくれているかは解っていても、いつも物事の蚊帳の外にいて何も知らないのは雪耶だけ。
 自分の顔が少し曇るのがバックミラーで確認できた。
 その表情に隣の狂司郎がすぐ気付いたようで、「ここでいい」と川田に車を止めるよう告げる。
 門から少し離れた場所に車が停止し、狂司郎に続いて雪耶も車を降りた。
 山本も川田もすぐさま車を降りてくる。

「雪耶さん」

 呼びかけてきた山本から、雪耶は携帯電話を渡される。

「俺、雪耶…うん…」

 電話に出た雪耶に狂司郎が気を使ってか、少し離れた場所に立って待っている。
 受話器からは、抑揚のない低く冷静な瀬名の声が続く。

『最近、九頭竜のシマ内で不穏な動きがあるとの情報を得ています。用心に越した事はありません』
「……解った」
『…雪耶さん』
「なに?」
『お友達が自宅へ呼んでくれるなんて、初めてのことですね』
「……うん」
『時間の許す限り、ゆっくり楽しんできてください』

 瀬名の最後の言葉は、雪耶に対する本心が伺える感情が込められていた。
 電話を切って傍らの山本に渡すと、雪耶の顔を見た山本が優しく微笑む。
 その後ろに立つ川田も軽く頷いてくれる。
 雪耶は行ってきますと小さな声で気持ちを伝えて、狂司郎に向かってへ走っていく。
 自然と笑顔が浮かぶのを止められない。
 狂司郎が雪耶の後ろを振り返り、自分も思わず振り返ると、山本と川田が頭を下げて自分たちを見送っているところだった。

 大きな門を前にして、雪耶の気持ちは弾む。
 こんなに長い時間、狂司郎と過ごす事が出来るなんて思ってもみなかった。
 先を歩く狂司郎が、ゆっくりと振り向いて見下ろしてくる。
 「来い」と短い言葉で歩みを促す彼に、少し照れくさそうな甘い微笑を浮かべて頷き、雪耶は一歩を踏み出した。



【時の流れる電車に乗って】 The END
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|  ・狂司郎×雪耶 | 17:47 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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