Möelva-B×B-

絵師集団ciliegioによるオリジナル作品オフィシャルブログです。男同士の恋愛が苦手な方は閲覧をご遠慮ください。

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狂雪43.時の流れる電車に乗って 10

 川田の表情は、相変わらずそ知らぬ顔で窓の外を眺めている。
 視線を感じて再び見上げると、狂司郎がじっと自分を見下ろしていた。
 偶然の出来事だったが、二人が自分を気遣ってくれているということに、雪耶の心にふんわりとした温かさが沸き起こる。
 狂司郎を見上げたまま、雪耶はありがとうと小さく呟いた。
 それを聞いた狂司郎の顔がドアの方へ向くと、雪耶もドアの方へと向き直った。
 秋空の広がる風景は、日の落ちる早さに伴って少し翳っている。
 ドアのガラスに微かに映り込む自分の顔に、同じように映り込んだ狂司郎の目線がまた向いていることに気付く。
 雪耶も目線を移すと、ガラスを介して二人の瞳が絡み合った。
 数秒間、互いに見詰め合った後、狂司郎がガラスに映る雪耶を見詰めたまま後ろから包み込むように少し屈んで耳元に囁く。

「デコ…これから、家に来るか?」

 狂司郎からの思わぬ誘いの言葉に、雪耶は驚きを隠せずに目を見開いた。
 普段の狂司郎は言葉も少なく、態度にも表情にも何を考えているのか全く出さないが、雪耶もそれを咎めたり気に止めたりした事はない。
 相手のことを知りたがると、自分のことも話さなければならなくなる。
 自分のことを話すのにはやはり躊躇いがあった。
 相手が自分の存在を拒否している訳じゃなければ、余計なことは聞かなくても傍に居ることが出来る。
 けれど、今日の狂司郎の行動を思い返して雪耶は違和感を覚えた。
 学校の正門前で自分の我侭に素直に応じてくれた時から、狂司郎が今までと何処か違うと、今更に気付く。
 どういう意図があって自分にそんな言葉を掛けてくれたのか解らず、その想いが雪耶の顔に浮かぶのを読み取ってか、狂司郎がガラスではなく雪耶自身の顔を覗き込んで、どうする?と聞いてくる。

「行っても…いいの?」

 雪耶らしからぬ少し遠慮がちなその問いに、狂司郎は微かな笑みで答えてくれた。


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