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絵師集団ciliegioによるオリジナル作品オフィシャルブログです。男同士の恋愛が苦手な方は閲覧をご遠慮ください。

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12.Premonition ~The beginning 9

その時の小春のときたら、これ以上はないというくらい目を見開いて、湊の顔を見つめた後、湊に取られた自分の手を見つめ、そのあと地面を見つめ、最後にはまた湊の顔をじっと見つめて、湊は自分の顔に穴があくのではないかと思ったほどだった。
苦笑して、なだめるように小春の手を軽く握り直しながら
「貴女はとても魅力的な方ですし、私は貴女のことを知りたいと思う。私は貴女にもっと自分のことを知って欲しいし、貴女が私に関心を持ってくれたら嬉しい。
また会ってくれますか?」
と、小春の瞳を見つめながらゆっくりと語りかけると、小春はやっと、という風情で
「はい・・・」
とだけ返事をした。

本人は近いから大丈夫だと遠慮したが、自宅近くまで小春を送って行った後、湊はタクシーに乗り込み、英家の住所を告げるとぼんやりと窓の外を眺めた。
先ほど、小春とマダムの親しげな様子を見ているときに唐突に湊を襲った感情。そのことについて考えを巡らせた。

長い付き合いの友人、心を許して話し合える友人は、数は多くはないが湊にもいる。ただ、彼らも多忙だったり、すでに家庭を持っている者もいたりで、日常的に密に連絡をとりあったりすることはない。現在、頻繁に付き合いがあるのは、殆どが会社関係の人間で、友人というよりはライバル、もしくは同志という感覚のほうが強く、個人的なことを話したりできる間柄ではない。
高校を卒業して東京に出てきてからは、自分の時間のほぼすべてを英の家のために費やしてきたし、そのことを寂しいとか物足りないと思ったことなど一度たりとてなかった。
恩人である英、そして誰よりも大切な狂司郎、このふたりの為にだけ自分が存在する価値があるとまで考えていたし、たまさか友人達に「人ん家の坊ちゃんの世話ばっかでお前疲れないのかよ」と心配されることすらあったが、そんな自分に疑問を抱いたこともなかった。

しかし、小春の周りには、あんな風に仕事を離れて付き合える友人がたくさんいて、きっと毎日笑いが絶えないんだろう。小春の周りには常に明るくて柔らかな光が見えるように感じる。たとえて言うなら、彼女の名前のような、春先のうららかな光。かたくなに着込んだ重いコートをさりげなく脱がせてくれるような暖かさ。そして、やすらぎ。
(やすらぎか・・・)
今の湊にはおそらく手に入れることが叶わない世界だ。しかし・・・
(・・・俺は一体何を考えているんだろうな・・・)
それ以上考え続けることが怖くなって、湊は思考を断ち切るように目を閉じ、シートに深くその身をもたせかけた。


【Premonition ~The beginning】
THE END

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