Möelva-B×B-

絵師集団ciliegioによるオリジナル作品オフィシャルブログです。男同士の恋愛が苦手な方は閲覧をご遠慮ください。

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83.【蒼白の月に啼く獣E-4】

この家に戻りたいと考えた時、そうすることが狂司郎への贖罪だと思っていた。

だが、英邸に戻ってから、それは単なる都合の良い言い訳でしかなかったと思うようになっていった。
狂司郎のためと言いながら、その実自分のためでしかなかったのではないか、自分の犯した罪の呵責から逃れたかっただけのことではないのかと。


あの頃、自分が離れることを、何故、狂司郎に言えなかったか。

狂司郎が自分にだけ心を開いてくれたという自負が心の底にあった。
狂司郎との甘やかな生活が自分にとって心地よかった。
狂司郎から冷たい視線を向けられることが怖かった。

だから言えなかった。


そんな自分の我儘で狂司郎を傷つけてしまったという罪悪感から、逃れたくて戻ってきた。
そして再び狂司郎との生活が始まり、その自分の心の中の真実に気付いた時、西門の心は在り処を見失ったように揺らいでしまった。


西門の立ち位置は狂司郎に一番近い。
心を開いてはくれていなくても、傍にいることを受け入れてくれてはいる。

だが、自分が狂司郎の傍にいることが、狂司郎にとってプラスになっているのだろうか。
自分がここにいることは狂司郎のためなのか、自分のためなのか。

その揺らぎを狂司郎に見抜かれていたのかもしれない。
だから彼は頑なに閉じたままなのだろうか。


西門が傍にいられる期間もあと1年を切った。
たとえ心を許していなくても、傍にいた人間がいなくなることで狂司郎はまた独りになってしまう。
それではなおさら孤独感が増すのではないだろうか。
自己満足のために戻ってきてしまった自分は、また罪を重ねるのだろうか。


それでも。
狂司郎の傍にいたいと思う。

自分の我儘だろうが自己満足だろうが、狂司郎の力になりたいと思う気持ちには嘘偽りはない。
たとえ必要とされていなくても、傍で見守っていたい。
自分があの時置き去りにしてしまったが故に、崩れてしまったであろう彼の心を、少しでもいいから温めてやりたい。

だから、今はもう揺らいだりはしていない。
次の春、狂司郎に別れを告げる時、後悔だけはしたくないから。

 
「狂司郎様。
今度は、ちゃんとお別れを言わせてくださいね」

掬い取った西門の掌から、指の間をくすぐりながらサラサラと流れるように落ちていく狂司郎の柔らかな髪を眺めながら、眠る狂司郎に呟くような声で静かに囁きかけた。

シーツの上に波紋を描くように広がる銀の髪をそっと撫でてから、西門は狂司郎のベッドから腰を上げ、手に持っていた狂司郎の服を片付けるため洗面所に向かって歩き出した。


その時、眠っていたはずの狂司郎の目蓋がゆっくりと開く。
それには気付かず洗面所の扉を開ける西門の後姿を、高熱のせいで少し潤む瞳でじっと見つめていた。

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