Möelva-B×B-

絵師集団ciliegioによるオリジナル作品オフィシャルブログです。男同士の恋愛が苦手な方は閲覧をご遠慮ください。

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76.【蒼白の月に啼く獣7-8】

道場のど真ん中で大の字になって寝転がり、荒い息をしている狂司郎の顔はよほど悔しいのか眉間に険しい皺を刻んでいた。

それもそのはず、狂司郎は西門に手も足も出なかったのだ。
フルコンタクトで空手の対戦をしたのだが、どんな技を繰り出そうと全て西門に軽くかわされてしまい、狂司郎は攻められる一方だった。
西門の攻撃は手加減しているので、狂司郎の身体には大した支障はないのだが、手加減している相手に1本も取れないと言う事実は、狂司郎にとってはかなりの屈辱である。


西門は道場から出るとトレーニングルームにある冷蔵庫からスポーツ飲料のペットボトルを2本取り出した。

西門もさすがに少し息が荒い。

通常の試合であれば2~3分のところを、30分以上狂司郎にねばられて続けたのだ。
だが、その程度で息を乱すとは情けない。
「もう少し鍛えないと…。」
苦笑いしながら日頃の運動不足を反省する。


西門が空手の試合を提案した理由は、狂司郎の心に溜まっている鬱憤を、暴力ではなく正当な勝負をして発散させてやろうという目的と、もうひとつ、小学生の頃と違い大人に近い体格を持つが故に、気持ちばかりが一人前のつもりの狂司郎の鼻っ柱を折り、今後の手綱を引きやすくするためでもあった。

対戦の前に、西門は自分の攻撃は手加減することを狂司郎に告げた。
小学生の頃に少し齧った程度の狂司郎を相手に、有段者の西門が攻撃などすれば狂司郎に大怪我をさせてしまう。
大人と赤ん坊の戦いのようなものだ。

それを聞いた狂司郎の片眉がピクリと上がり、
「そう言ったことを後悔させてやる…」
低い声で言う狂司郎の瞳に強い意思を感じ、西門は彼の闘志に火をつけてしまったことを悟った。

そんな狂司郎を目の当たりにした時は、試合が荒れる可能性も考えられ、おそらく五分五分であろうと予想していたものが、西門の望んだ良い結果として得られていた。
狂司郎が根本的には歪んではいないことを知ることが出来たのだ。

それは、狂司郎がフルコンタクトでの試合のルールをきちんと遵守したことだった。
負けん気の強い性格である上に、喧嘩慣れしているという自負もあるであろう狂司郎にとって、西門との対戦は屈辱だらけだったに違いなく、キレて何が何でも勝ってやろうと思ってしまえば、禁止事項の顔面への直接加撃や、その他の反則技も仕掛けてくる危険性もあったのだが、彼はそれをすることなく、正当な戦いを貫いた。

狂司郎はまだ大丈夫だ。心の核の部分まで折れてしまってはいない。
だから、きっと、やり直せる。もう一度立て直すことが出来るはずだ。
その手助けをするために自分は戻って来た。

西門はクッと顔を引き締めると、背を正し道場にいる狂司郎の元に向かった。

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