Möelva-B×B-

絵師集団ciliegioによるオリジナル作品オフィシャルブログです。男同士の恋愛が苦手な方は閲覧をご遠慮ください。

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60.【蒼白の月に啼く獣6-2】

 口数が少ないのは狂司郎の元来の性格なので、二人の会話はそれほど多くはないのだが、かつてのように西門が話しかけても拒絶されて沈黙が続くということもなく(機嫌を損ねている時は別だが)、話したいことがあると狂司郎の方から声をかけてくることも当たり前になっていた。

 一ノ瀬宅で見かけ、いつか自分も見たいと思ったあの笑顔も、時折見せてくれる。


 狂司郎は西門の部屋に行きたがることが多く、田上に知られたら何を言われるかわからないと危惧しつつも、この広い邸内で狂司郎が寛げるのが自分の部屋だけだというのも可哀相に思い、休みの日だけという約束で時々自分の部屋に連れて行っていた。

 何故だかわからないが狂司郎は、西門のベッドがことのほかお気に入りのようで、西門の部屋に入ると真っ先にベッドに上がる。

 ベッドの上で、携帯用のゲームをやっていたり漫画の本を読んでいたりと好きなように過ごす狂司郎だが、眠くなると布団の中にもぐりこんで眠ってしまうこともある。
 無理に起こすとひどく不機嫌になるので、そのまま眠らせておく。その間、自分の時間として使えるので西門にとっても支障はないからだ。


 狂司郎が家を抜け出すことはなくなり、そのこと自体は喜ばしいのだが、その反面、彼の行動が屋敷内に限られてしまっているという現実があった。
 小学校に友達がいないというのは相変わらずで、休みになると行っていた狂司郎の唯一の友達である一之瀬彰の家にも、彰の部活が忙しくなるにつれて行かなくなってしまっていた。
 それは、狂司郎が過ごす相手は西門一人であるということで、決して小学生にとってプラスではない。
そのうえ、邸内から出ようとしないというのも問題だと考える西門は、時折、息抜きを兼ねて外に連れ出すようにしていた。


 都心まで買い物に行ったり、千葉にある大きなテーマパークに遊びに行ったり、海を見に連れて行ったりと、その時々で行く場所は様々だったが。
 外に出ることは楽しいようで、時折、普段は見せないような嬉しそうな表情を覗かせたりする狂司郎は、水族館が特に気に入ったらしく、長い時間水槽に見入っていたりしていた。

 さまざまな魚たちが悠々と泳ぎまわる巨大な水槽を食い入るように見上げながら
「こいつ等、ここに閉じ込められたまま死ぬんだよな。」
 ポツリと狂司郎が呟いたことがある。

 この時の声と、狂司郎の横顔が今も西門の脳裏に残っている。

 語る言葉は少なくとも、心の中には幾多の思いを湛えているのだろう。その湛えている感情が渦を巻き荒れ狂った時、吐き出す術を知らない彼は飲み込まれてしまうのではないかという不安は、今も絶えず西門の胸を刺しているのだった。

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