Möelva-B×B-

絵師集団ciliegioによるオリジナル作品オフィシャルブログです。男同士の恋愛が苦手な方は閲覧をご遠慮ください。

2011年02月 | ARCHIVE-SELECT | 2011年04月

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黒龍は木犀を甘く喰む6

 ある日、九頭竜の屋敷にここ数ヶ月離れて滞在している弟に……と、二人の兄からプレゼントが届いた。
 そのプレゼントについていたリボンを手に、雪耶が悪戯を思いついたらしく、標的に選んだのは屋敷に飼われているドーベルマンだった。
 よく訓練されたドーベルマン達は、不穏な匂いを漂わせる不審者以外に牙を剥くことはない。
 が、加減を知らない小さな子供を呈よくあしらえるほど、優しい心を持っているわけでもなかった。

「きゃぁぁっ!」

 瀬名が九頭竜の舎弟に呼ばれて、目を離した隙を突いて庭に響いた子供の叫び声に、屋敷に居た怖面の男たちが一斉に集まる。
 瀬名も直ぐに駆けつけたが、目の前の光景に唖然となった。
 ドーベルマンに悪戯を仕掛ける最中だったのだろう、逃れようとしたドーベルマンの動きに振り回されてか、雪耶の身体にリボンが巻きついてしまっていた。
 巻きつきはゆるく、腕や上半身が拘束されて身動きが取れない程とは思えなかったが、尋常でないその表情と痙攣を起こしたように震える小さな身体に驚かされ、瀬名は即座に駆け寄ってリボンを毟り取り胸の中に抱きしめた。
 青ざめた顔と恐怖からか冷たく震える身体を優しく撫でてやりながら、瀬名は無意識のうちに「大丈夫……もう大丈夫だ」と何度も呟いていた。

 それから数時間後、九頭竜の屋敷には久世夫婦と二人の兄までもが揃ってやってきた。
 母親の胸に抱かれることで雪耶は少しずつ落ち着きを取り戻し、彼の寝室に使っている部屋で、両脇に陣取った二人の兄に見守られながら眠っている。
 経営している企業や組の仕事で、他の家族に遅れて屋敷に戻ってきた九頭竜に呼ばれた瀬名は、昼間に起きた事態の責任を糾弾されると覚悟していた。
 だか、九頭竜が語りだした話に、瀬名の胸は別の意味で軋むような痛みを感じることになった。
 そして、雪耶の身に起きた出来事から、まだほんの数ヶ月しか経っていない事を知る。
 普段のあどけなくも抜け目のない悪戯坊主に、どれだけの恐怖と拭えぬ枷が背負わされているのか。
 瀬名は、雪耶を取り巻く人々の彼に対する限りのない愛情の片鱗を、そこに見た気がした。


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|  ・雪耶ライン | 23:24 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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