Möelva-B×B-

絵師集団ciliegioによるオリジナル作品オフィシャルブログです。男同士の恋愛が苦手な方は閲覧をご遠慮ください。

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あとがき【黒龍は木犀を甘く喰む】

【黒龍は木犀を甘く喰む】を書かせていただきました、辰城百夏です。
Moelva-B×B-にお足を運んでいただき、読了いただきましてありがとうございました。


 今回は、雪耶ラインのお話でした。
 前回連載の、狂雪【荊-月は闇に翳る-】から一転、雪耶の世話係である瀬名目線で語られる、ほんの少し雪耶の過去に触れたお話になっています。
 全く関係がないようにも思えますが、【荊-月は闇に翳る-】で狂司郎の元から去った雪耶が、瀬名を迎えに呼び出すシーンへと繋がっています。

 瀬名が雪耶と出逢ってから10年近く、雪耶の傍で、彼の生き方をずっと見つめてきました。
 両親、二人の兄と仲良く暮らし、何不自由なく育ってきた雪耶ですが、彼の背負っているものは、学び舎で共に勉強している他の生徒たちとは、あまりにも違ったものです。
 子供ながらに、他の子と自分は違うのだという認識を余儀なくされてきた雪耶にとって、瀬名の存在は家族に対するそれとは少し違った、頼れる心強い大人として身も心も預けています。

 本人が望んだものではなく、大人達の世界や都合に翻弄されながら育ってきた過去は、狂司郎も同じでしょう。
 そんな二人だからこそ、瀬名は狂司郎の存在を雪耶の良き友人として認め、雪耶を傷つける者は相手が誰であろうと許さないという信念を曲げてまで、雪耶が大切に思っている狂司郎と仲直りするように仕向けています。

 互いに同じような傷を心に負っていながら、その傷を広げるようにすれ違ってしまった狂司郎と雪耶。
 今後の二人にどんな道が待っているのでしょうか。
 これからの展開を、引き続き楽しみに待っていていただけますと幸いです。

 それから
 狂司郎と雪耶のみならず、Moelva-B×B-にはたくさんのキャラクター達が存在しています。
 彼らの活躍も、どうぞお楽しみに!
 皆様お気に入りのキャラクターを、是非コメントなどでお教えください。
 彼らから、何かアクションがあるかも……しれません♪

 次回は、ciliegioの面々より、何か企画があるようです。
 Moelva-B×B-の更新を、是非是非お楽しみに!


 あとがきを、最後まで読んでくださいましてありがとうございました。
 何時もご訪問いただいたり、拍手をいただいたり、心から感謝しております。
 ここを訪れてくださる方々に楽しんでいただけるようこれからも頑張ります。
 今後ともMöelva-B×B-をよろしくお願いいたします。


 辰城百夏


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|  ・雪耶ライン | 18:46 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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黒龍は木犀を甘く喰む7

 「雪耶さん……」

 雪耶と出逢ってから10年が過ぎた。
 身の内に抱えるトラウマと、九頭竜直系の孫として彼に圧し掛かる重圧に、未だ小さなその身体で雪耶はよく耐えている……と瀬名は思う。
 雪耶のトラウマを知ったあの日から……いや、雪耶と出逢った日から、瀬名は一度も雪耶の泣き顔を見た事が無い。
 雪耶を襲った過去の出来事は、あまりにも痛烈に雪耶の心を抉り、そのために家族や周りの大人に悲しい顔をさせないよう、決して泣いたりしないと決意させるまでに至ったのだ。
 あれから日を待たずして正式に九頭竜の下に就いた瀬名は、自分の持てる全てを雪耶に捧げようと決めた。
 肉体や精神の鍛錬と護身術を兼ねて、自分が小さな頃から続けていた空手を教え、大学にまで通って得た知識を与え、一度は捨てようとした自分の命を懸けて雪耶を守ると胸の内で誓った。

「……瀬名さん……俺、どうしたらいい?」

 小さく呟く雪耶の迷いに、瀬名は胸を切なくする。
 今、彼が自分に問うているのは、喧嘩してしまった友人とどう仲直りすればいいかということではない。
 彼が大切に思う人々を、その身に抱える苦悩で傷つけてしまう自身は、どう生きていくべきなのかを迷っている。

 何時か失うかもしれない恐怖と闘いながら、今の環境に甘んじて生きていてもいいのか。
 紡いできた縁を断ち切ってでも、今とはかけ離れた世界で生きるべきなのか。

 それは、雪耶自身にしか決めることは出来ない。
 だが、瀬名はどんな生き方を雪耶が選んでも、自分は絶対に彼から離れようとは思わない。
 たとえ生きる世界が違う人生を彼が選んだとしても、自分は死の間際まで、日陰の道に身を置いた場所から彼を守り抜こうと決めている。

「今はまだ迷っていればいいんです、急ぐ事はない」
「でも……また」
「英さんには明日、過去の真実を伝えて謝ればいい。彼ならきっと理解して許してくれます」
「……そう、思う?」

 自分の胸に凭れながら小首を傾げ、縋るような瞳を向ける雪耶を、瀬名は思わず強く抱きしめた。
 「はい」と答えつつ、心の奥に暗い炎が燈るのを感じる。

 全てを失って、泣きながら自分に縋ってこい。
 その心も身体も、何もかもを守ってやれるのは自分だけだと思い知ればいい。

 そんな想いが心を掠める自分に、瀬名は苦笑する。
 その情念が彼への同情からくるのか、父性的な愛からくるのか、もっと違うものなのか、瀬名にも解らない。
 ただ、自分の腕の中で小さく震える仔猫のような雪耶の存在が、今の自分の全てであるということだけは明確な事実だ。

「ここに長居していても仕方ない。帰りましょう、雪耶さん」 

 ゆっくりと雪耶から腕を解いて、その顔を覗き込む。
 小さく首を縦に振った雪耶と共に、近くに止めたバイクへと向かう。
 ヘルメットを被りバイクの後ろに跨った雪耶が、瀬名の背に身を寄せながらそっと囁いた。

「瀬名さん……ありがとう」

 腰に回された雪耶の手を軽く叩き、「解っています」と合図して、瀬名は英邸の前から静かにバイクを発進させた。


【黒龍は木犀を甘く喰む】THE END 


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|  ・雪耶ライン | 00:20 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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黒龍は木犀を甘く喰む6

 ある日、九頭竜の屋敷にここ数ヶ月離れて滞在している弟に……と、二人の兄からプレゼントが届いた。
 そのプレゼントについていたリボンを手に、雪耶が悪戯を思いついたらしく、標的に選んだのは屋敷に飼われているドーベルマンだった。
 よく訓練されたドーベルマン達は、不穏な匂いを漂わせる不審者以外に牙を剥くことはない。
 が、加減を知らない小さな子供を呈よくあしらえるほど、優しい心を持っているわけでもなかった。

「きゃぁぁっ!」

 瀬名が九頭竜の舎弟に呼ばれて、目を離した隙を突いて庭に響いた子供の叫び声に、屋敷に居た怖面の男たちが一斉に集まる。
 瀬名も直ぐに駆けつけたが、目の前の光景に唖然となった。
 ドーベルマンに悪戯を仕掛ける最中だったのだろう、逃れようとしたドーベルマンの動きに振り回されてか、雪耶の身体にリボンが巻きついてしまっていた。
 巻きつきはゆるく、腕や上半身が拘束されて身動きが取れない程とは思えなかったが、尋常でないその表情と痙攣を起こしたように震える小さな身体に驚かされ、瀬名は即座に駆け寄ってリボンを毟り取り胸の中に抱きしめた。
 青ざめた顔と恐怖からか冷たく震える身体を優しく撫でてやりながら、瀬名は無意識のうちに「大丈夫……もう大丈夫だ」と何度も呟いていた。

 それから数時間後、九頭竜の屋敷には久世夫婦と二人の兄までもが揃ってやってきた。
 母親の胸に抱かれることで雪耶は少しずつ落ち着きを取り戻し、彼の寝室に使っている部屋で、両脇に陣取った二人の兄に見守られながら眠っている。
 経営している企業や組の仕事で、他の家族に遅れて屋敷に戻ってきた九頭竜に呼ばれた瀬名は、昼間に起きた事態の責任を糾弾されると覚悟していた。
 だか、九頭竜が語りだした話に、瀬名の胸は別の意味で軋むような痛みを感じることになった。
 そして、雪耶の身に起きた出来事から、まだほんの数ヶ月しか経っていない事を知る。
 普段のあどけなくも抜け目のない悪戯坊主に、どれだけの恐怖と拭えぬ枷が背負わされているのか。
 瀬名は、雪耶を取り巻く人々の彼に対する限りのない愛情の片鱗を、そこに見た気がした。


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|  ・雪耶ライン | 23:24 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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黒龍は木犀を甘く喰む5

 瀬名が雪耶と出逢ったのは、彼がまだ5歳の幼稚園児だった頃だ。
 有名大学に通っていた瀬名は、学部の教授の取り計らいでイギリスのとある大学院へのラボ留学を控えていた。
 しかし、親友だと心を許していた人間に卑劣なやり方で研究論文や恋人を奪われ、嘱望された将来の道も閉ざされてしまった。

 こういうときの世間の目は冷たい。

 瀬名の両親は、親類縁者や周りの人間からの心無い言葉や態度に傷つき、職を失い、絶望の中で精神を病んで自らその一生を終えてしまった。
 瀬名自身も友や愛しい人と思っていた人間や、両親を死に追いやった世間を恨んで死を望んだが、若い身で死ぬに死に切れなかった。
 そんな自分に手を差し伸べてきたのが、九頭竜だった。
 ぼろぼろになった心を抱えて酷く荒れていた瀬名に根気強く言葉を掛け、あろうことか自分の命よりも大切にしている孫の世話係として瀬名に仕事を与えたのだ。

 『雪耶』という名に相応しい色白の、あどけない表情をした少年。
 社会からドロップアウトした、こんな自分に何が出来るというのか。
 しかし初対面の時、九頭竜に馬鹿にされた気分で目の前の子供を見下ろしていた瀬名の顔に、水鉄砲で、しかもたっぷりの砂糖水を思いっきり引っ掛けたかと思うと、そのかわいらしい口元に信じられないような悪戯な笑みを浮かべて逃げていく。
 そんな雪耶の後ろ姿を、怒りすら忘れて呆然と見詰めて立ち尽くしてしまった。

 どれだけやんちゃが過ぎるんだ。

 瀬名がそう思うまでに時間はいくらも掛からなかった。
 周りの大人や歳の離れた二人の兄から存分に甘やかされているとはいえ、雪耶のやんちゃぶりは呆れるほどで、長身で運動神経抜群の瀬名でさえ彼を捕獲するには骨が折れる。
 小さいながら野生の猫を連想させる雪耶を捕らえる苦労は、まさに『捕獲』という言葉がぴったりだ。
 瀬名はこのやんちゃ坊主との連日の格闘で、最初に感じた九頭竜への卑屈さや、自分が背負った過去の惨めさ、怒り、諦めを感じる間もなく、小さな猛獣の世話に明け暮れた。


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|  ・雪耶ライン | 00:12 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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黒龍は木犀を甘く喰む4

「……瀬名さん」

 自分を呼ぶ雪耶に素早く近寄り、小さな身体を庇うように腕の中に納める。
 雪耶は両手で顔を覆いながら、瀬名の胸に縋りつく様に身を預けた。
 その肩が震えているのが解る。

「何があったのです?」
「……瀬名さん、俺」

 暫く身じろぎもしなかった雪耶が、顔を上げて自分の掌を見詰めた。
 ゆるく開いた指先も細かく震えている。
 瀬名は雪耶を脅かさないようにゆっくりと腕を動かし、彼の頬を両手でそっと包み込んだ。

「雪耶さん」
「俺……狂さんに、酷いこ…と……酷いことしたかも……っ」
「……雪耶さん」

 雪耶の琥珀色の瞳が暗く翳り、それとは相反するようにゆるゆると潤んでいる。
 掌を見詰めたまま、神に懺悔するように紡ぐ言葉が痛々しくさえ感じた。

「俺……平気になったと思ってたのに……もう、全然大丈夫って、思ってた…のに」
「雪耶さん……喋らなくていい、少し落ち着きましょう」
「狂さんを、拒絶…しちゃった……」
「ちょっとしたすれ違いでしょう?心配ない……明日にでも謝れば仲直り出来ます」
「狂さんに……腕…掴まれたとき、俺……俺っ」
「雪耶さん!もういい!」

 有無を言わさずに、その小さな身を強く抱きしめて言葉を奪う。
 雪耶の台詞を最後まで聞かなくても瀬名は理解した。
 経緯はどうであれ、彼の抱えるトラウマが頭を擡げ、親しみを持って接してきてくれていた相手を酷く拒んだ事を。


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|  ・雪耶ライン | 19:31 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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